平成21年秋、民主党は「コンクリートから人へ」を掲げ、史上初の政権交代がなされ国民全体が新しい日本の出発に期待した。しかし、残念ながら民主党が国民に約束したマニフェストや政策集はほとんど実施されていない。子ども手当の半額支給や診療報酬の0.19%増などは実施されたが、年金制度改革や医療制度改革は進まず、地域医療再生計画の予算も削減された。更に鳩山や小沢の金銭問題、普天間基地移設問題を巡る混乱もあり、政党支持率は低下している。
民主党は有力な財源である消費税の引き上げを封印したが、行政刷新会議が行う事業仕分けはその実効性があまり期待できないし埋蔵金も底をついた。今、国が抱える長期の借金は900兆円を突破し、国民1人当たり700万円の『借金』である。民主党政権における歳入と歳出はアンバランスで財源不足が著しい予算である。今や財源の確保は待ったなしである。膨張する医療費と介護費に対処するためには、財源をバラバラに使うのではなく、有効に利用しなくてはならない。少なくとも「高齢者ケア」については一体的運用が必要である。
団塊の世代が75歳以上になる2025年には、65歳以上の割合、つまり高齢化率は30%を超える。厚労省の試算によると、2006年度と2025年度の個人負担を除いた社会保障給付費を比較した場合、年金が約47兆円から65兆円(約1.4倍)に増える。医療は約28兆円から48兆円(1.7倍)、介護は約7兆円から17兆円(約2.6倍)に増える見通しである。それに出産・子育てなど少子化対策の費用もかかる。これらの財源確保のためには、贅沢品と生活必需品の税率をきっちり分けた消費税のアップについて、国民の理解を得て導入しなければならない。当然!現在の社会保険診療報酬等に対する消費税の非課税制度は、仕入税額控除が可能な課税制度に改め、かつ患者負担を増やさない制度に改善しなければならない。
又、今年度の当協会の大きな事業の一つは、2年前から皆様にお願いしている公益法人制度改革への取り組みである。当協会は事業の50%以上が公益目的事業であるので、法人税の優遇措置を受けられる公益社団法人化に向けて会員皆様のご理解とご支援をお願いしたい。
このような環境のもと、当協会は今後も医療制度改革や医療環境の変化に対して、国民の皆様の要望に応えられる質の高い医療を提供できるよう努力しなければならない。そして、そのためにはOECDの先進国並みの医療費が必要であることを訴えていかねばならない。
尚、「医療安全全国共同行動の推進」について、日本病院団体協議会は「第1期を持って退く。但し、各病院が自主的に参加することを否定するものではない。」と決定した。和歌山県病院協会は行動運動に参加した病院による検証を行い今後の方向を決めたい。
他方、政治においては「リーダーシップ」が問われ、未だに「政治と金」の自浄努力もなく国民の不信を招いている。我々は医療において国民の皆様から信頼されるよう「医の倫理」に基づき医業経営に励まなければならない。
更に現在、病院医療費が国民医療費の半分以上を占めるという認識の下、全国の病院団体が一つにまとまることを願い、和歌山県病院協会は地域医療において医師会を始めコ・メディカル団体と協働しながらリーダーシップをとっていかねばならない。
和歌山県病院協会の平成23年度の主な事業計画は、下記の通りである。
1) 医の倫理の高揚
@倫理、人権についての研修会開催
2) 医療安全対策の推進
@ 医療安全対策の研修会開催
3) 医師確保対策
@県当局、県医師会との協調(医療対策特別委員会、新医師臨床制度対策委員会)
A和歌山医大理事会との懇談会
4) 看護師確保対策
@和歌山看護専門学校
A和歌山県看護協会、県当局との連携
B潜在看護師の復帰対策、新人看護職員研修などへの協力
5) 地域医療提供体制の充実
@医療圏における救急体制の整備
A民間病院の役割の増進
BER型救急医療体制の推進
6) 情報の共有化
@病院協会ならびに会員病院のIT化推進
AMLの活用
7) 医療機能評価の推進(医療機能推進委員会)
@研修会開催
A認定病院増への対策
8) 医療関係職種との連携と資質の向上
@学術大会の開催
A各種研修会開催
B各コ・メディカル団体との懇談会
9) 広報活動の強化
@ 会報の充実
A インターネットを利用した情報提供の推進
B ホームページの充実
C マスコミとの懇談会
D 地域メディアへの広報推進
10) 病院の全国組織との協調
@日本病院会、全日本病院協会との連携
11)公益法人への移行準備
@公益法人化準備委員会